シオラン(『八つ裂きの刑』Écartèlement)の一節に,毒杯が準備されているときにソークラテースが笛の練習をしているのを見て「そんなことをして何になるのか」と問うた人があり,ソークラテースは「死ぬ前にこの曲を覚えたいのだ」と答えた,という話があったのを思い出して今原典を見ていたが,そこに入っている注によるとこの逸話はアンミアヌス・マルケッリーヌス(28.4.15)に報告されているらしい.

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シオランのバージョンとは結構趣が異なる気もする.
「死刑を宣告され,牢獄に投じられたソークラテースは,ステーシコロスの抒情詩を巧みに演奏しているある人に,自分にもそれができる間に教えてほしいと求めたところ,その音楽家は『翌日死ぬ定めの人にそれが何の役に立ちうるのか』と問い,ソークラテースは『何かより多くのことを知りながら生から立ち去るために』と答えた」
... destinatum poenae Socratem, coniectumque in carcerem, rogasse quendam scite lyrici carmen Stesichori modulantem, ut doceretur id agere, dum liceret : interroganteque musico quid ei poterit hoc prodesse morituro postridie, respondisse "ut aliquid sciens amplius e vita discedam"

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Ariadna

古典という迷宮の誰が辿るとも知れぬ糸
Niceratus Kiotensisが学術,とくに西洋古典文献学関係のメモとか書誌情報とかを細々と記録したりするためのおひとり様インスタンスです……が,卒鳥への動きに伴いもっと自由な運用になってきています.このインスタンスについてもっと詳しく.